夜中の2時になろうかという時間、夜間出入口から長い廊下を静かに小走りに急いでいると
『ご主人ですか?』
分娩室の手前でナース服の女が声を掛けてきた
『そ、そ、そうです!うちの嫁は!?』
『ご主人落ち着いてくださいね、奥さまとお腹の赤ちゃんは今危険な状況です
奥さまの命を優先しますか?赤ちゃんを優先しますか?
それともあなたが身代わりに?』
ナース服の女の口元がニヤリと笑い骨と皮だけのように細い指を俺に向けて伸ばしてきたその瞬間
『そこまでだ!破ァーーーッ!』
青白い光が俺の耳元をかすめ目の前の女に向かって炸裂した
『男に捨てられ子供を産めなかった女の恨みがここに留まり
生まれなかった子供の魂を抱え込んだまま悪霊になったんだ
いつまでも幸せな家族を妬んで道連れにしようとしてんじゃねーよ』
はっ!と声の方を振り返ると近所の寺生まれのTさんがいた
『どうやらお前もお前が抱え込んだ魂も一緒に転生する時が来たようだな破ァ!』
再び青白い光を放つTさん
『それにな、ここのナース服は2年前からパンツスタイルに変わっちまったんだよ!』
寺生まれって凄い、改めてそう思った