足音

あれは去年の冬の出来事だった。
その日は昼間からちらついていた雪が夕方にはすっかりつもるほど降っていた。
日がとっぷりと暮れたころ、俺は小高い丘の上の家のある住宅街へと続く人気の無い坂道を歩きながら登っていった。
大学の授業が5限目まであったのと雪で電車がおくれたせいでこんなに遅くなってしまった。はやく、家に帰って暖まりたいな。ああ寒い。
そう思いながら車のタイヤの跡以外、なにもついていない新雪に足跡をつけながら歩いていると後ろからザク、ザクと雪をふむ足音が聞こえてきた。
俺以外にも誰か歩いているのかな、ふと気になり後ろを振り向いた。

誰もいなかった。


それにも関わらず足音は聞こえてくる。ふと坂の下の方をみるとおれの足跡以外にもう一組の足跡がある。ザク、ザクと音が聞こえるたびに雪に穴が開き足跡が増える。
誰もいないはずなのに・・・

俺はすぐに前を向き走りだした。しかし、雪に足をとられ思うように進めない。
俺が走りだすと同時に後ろの「足音」もザクザクとペースを上げてくるのがわかった。
半泣きになりながら必死で走った。しかし足音はすぐ後ろまで迫ってきた。
だめだ、追いつかれる・・・
そう思った時だった。
「そこまでだ!」
そう叫びながらだれかが坂の上からスノーボードで降りてきた。あれは寺生まれのTさんじゃないか!
「人を惑わす雑霊め!破アーーッ!!」とTさんが俺に向かって青白い光弾を右手から放った。
光弾は俺の肩の上を飛び去った。すると足音も後ろにいる「何か」の気配も完全に消え去った。
Tさんは、光弾を撃った拍子にバランスを崩し坂の下へとコロコロ転がっていった。

「暗い夜道には時々あんなものが現れるから気をつけろよ。破アックション!。」
「畜生、冬将軍の奴!今年も破あできなかった。」
なぜか俺の家のストーブでなぜか服を乾かしながらそう語るTさんをみて寺生まれってすごい、俺はそう思った。




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