深夜のホーム

飲み会を終え、駅に着いたときはもう夜の12時を過ぎていた。
はあ、と俺は人っ子一人いないホーム内のベンチに座りため息をつく。
大学4年、就活に励んでいるのだが不況の煽りを受けてどこにも内定がもらえない。おまけに母親が最近、更年期なのか体調不良に苦しんでいる。ちくしょう、お先真っ暗だ。今日は後輩に飲み会に誘われ、息抜きのつもりで行ったのだが気分は一向に晴れない。
この先大丈夫かな、と酔った頭でぼんやりと考えているとホームの縁から手の平がおいでおいでしているのがみえた。飲みすぎて幻覚でも見ているのか・・・
すると俺は突然立ち上がり線路に向かって歩き出した。おかしい、足が勝手に動く。黄色い点字ブロックを越え、ホームの縁に立ったところで急に足が止まった。すると何かが突如、足首をがっちりと握った。驚き足元を見ると灰色をした2本の手が足首を掴んでいる。
そして線路には灰色の肌をし、ぼさぼさの黒髪、瞳のない目の人間、いや化け物がいた。俺の両足首を掴んでいるのはそいつの異様に長い手だ。
酔いが一気に醒める。逃げようとしたが体が全く動かせない。

まもなく○番線に電車が参ります、というアナウンスが流れる。それと同時に化け物がにやりと笑い、足首を掴んでいる手に力を入れ線路に引きずり込もうとする。
こいつは電車に俺を轢かせようとしているんだ。
電車が近づいてくる音がする、いやだ、だれか助けてくれ。
その時だった。
「破アッ!!」という叫び声とともに青白い光弾が飛んできて化け物にあたった。化け物は苦悶の表情を浮かべ煙のように消え去った。
それと同時に金縛りが解けおれは地べたにへたり込んだ。次の瞬間、電車が線路に入ってきた。
「危なかったぜ」そう言いながらこちらに急いで駆け寄ってきたのは寺生まれのTさんだ。
「線路には、ああやって生者を引きずり込んで仲間に入れようとする亡霊がいるんだ。特にお前は気持ちが弱ってたから魅入られやすかったんだろうな。」
そう言っているTさんの後ろから駅員が現れTさんは連行されていった。俺を助けるために改札口を飛び越えて駅に入っていった

ちなみにTさんの「破アッ!!」が俺の悪い運気も払ってくれたのか母の体調もその後、回復し俺も無事に就職先が決まった。
寺生まれってって凄い。




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