ずっといっしょ

ある大きな病院の病室に小3の男の子とその母親がいた。
「ねぇ、ママ」
[ん?]
「僕ね、パパとママの所に生まれてきてホントに幸せだったよ」
[きゅ、急にどうしたの?でも、嬉しいよ。ありがとぉ]
「僕ね、わかるんだ。もお、生きられないんだ。だからね、最後にいつもみたいにぎゅってしてよママ(泣)」
[最後じゃないよ。最後じゃない。これからもずっとぎゅってしてるよ]
ぎゅ、、、
「うん(泣)、ママ大好きだよ」
[ママも大大大大好きだよ]
泣きじゃくる男の子と涙を必死に堪えてずっと笑っている母親。
そのうちに男の子は泣きやみ、まんべんの笑顔でこう言い残していった。
「ずっといっしょにいようね」
病室には終わりを告げる音が鳴り響いていた。
その帰り道、母親が横断歩道を歩いていると、急に信号無視の大型トラックが突っ込んできた。

「危ない轢かれる!」と思ったその瞬間、
「破ァ!」という叫び声とともに蒼白い光弾がトラックを吹き飛ばした。
状況が把握できず唖然としている私に、「まだだ」と寺生まれのTさんは言った。
見ると、止まったトラックからたくさんの小さな手形が剥がれ落ち、小さな痩せこけた男の子の形に集まっているのだ。
すると突然、「ズッウウウウウウウトイッショダヨオオオオオアアア!!!!!」という甲高い悲鳴にも近い叫び声をあげて男の子の形をしたものが母親に巻き付いてきた。
「母親を愛するあまり、一緒に連れて逝こうとしたのか・・・・・だが!死してなお現世の者に迷惑をかけようなどとは言語道断!」とTさんは言うが早いか男の子に向かってありったけの霊力を解き放った。
Tさんの蒼白い霊力が男の子を包み込むと、男の子は苦しそうな叫び声をあげながら消滅していった。
ふと腕を見ると、無数の小さい手跡が付いていた。
Tさんがさっと手をかざしてこう言った。「子供に罪は無いんだ。許してやってくれ」
腕に付いていた跡はきれいさっぱり無くなっていた。
寺生まれって凄い、私は初めてそう思った。




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