親父

「悪霊は大丈夫か? 」と聞かれたら
「最近、あまりいないんだよ」と嘘をつき、
「嫁さんはお前に不平不満を言ってないか?」と聞かれたら、
「あぁ、仲良くやってるよ」と答える。
親父に伝えるオレの人生は全部絶好調状態だ。
親父には一切不安を抱かせない。


1時間ぐらいいると「早く寺に戻れ!」と言う。
「いや、別に今日は仕事しないよ」と言うが、いいから行けと言う。
実際は今日の大魔王が来ててどっちにしても長居はできなかった。
「また一週間後来るよ」と言って、親父と握手し、母と一緒に病室を出た。


母と話しながらエレベーターの前まで歩いて思い出した。
「ちょっと戻る」と母に告げきびすを返し、一人で病室に戻った。
やっぱり今日言っておかなきゃだめだ。 親父のベッドのそばに戻り、親父の手を握り、
「破ぁ!」「まだ、俺に読経させるなよ」「来週は女房と一緒に来るぞ」
とかいろいろ言い、
最後に親父の手を自分のひたいに付けて言った。
「破ァァァーーーーーーッッ!!!!!!!!!! 」
 
伝えたいことはだいたい話せたような気がする。
なんだか胸のつかえが取れた気分だ。
そして、病室を出てそのまま寺に戻り、今も恐怖の大魔王と戦っている。
オレはオレで生きるのだ。
寺生まれも悪くない。俺は改めてそう思った。




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