四国で

俺は、たまたま仕事で四国に来ていた。
大型の台風が来るってことで、身動きが取れない。

もうそろそろ真夜中、台風がここ四国に再接近か上陸する頃だ。
もしもまともに上陸したら、被害は想像もつかない。

念のため非常食を買いに風雨の吹きすさぶ中、宿をでたところ、
途中の公園に誰かがいる。

両手を向かい合わせてじっとしている。
こんな事をするのは、寺生まれのTさんしかいない。
見ていると両手の間に青い光が生まれているようだ。
その光はどんどん大きくなり、それに合わせて両手の間隔も大きくなる。
光がバスケットボール位になったとき、大きくなるのは止まったようだ。
しかし、Tさんは動かない。
今度は、その光の玉がどんどん明るくなっていく。
電灯の明るさを越え、月の明るさを越え、太陽と同じく位になっただろうか。
まともに見ていられない程の明るさになったとき、突如「破ぁー!」
Tさんの叫びが聞こえた。
見ると、光が上昇していく、しかし、Tさんの右手も光ったままだ。
どうやら、Tさんの右手と光の玉は光の糸によって繋がっているらしい。
その場のTさんを残して、光の玉は上空の雲に呑まれて見えなくなった。
そしてもう一度「破ぁーーーーー!」、Tさんは右手で何かを投げるような
仕草をすると、右手の光が消えた。

あっけに取られていた俺にTさんが近づいてきた。
「何をしていたんですか?」、震えながら聞く俺。
「なーに、ヒステリー女のマーゴンちゃんにお引き取り願ったのさ」
Tさんは、わかったようなわからないような返事をしながら、自分の
宿に帰っていった。

その後、台風6号(マーゴン)が四国に上陸後、急に向きを変えて海上に
去っていったのを知った。

寺生まれって凄い。
俺は、そう思ったような、思わなかったような。




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