赤いマフラー

ある小学校に、一年中赤いマフラーをつけている少女がいた。
ある日、同じクラスの少年がその少女に、
「おい、何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ中学校に行ったら、教えてあげる。」
と言った。

少女と少年は2人とも受験をせず、同じ中学校に入った。同じクラスだった。
ある日、少年が少女に、
「約束どおり教えてくれよ。何でいつもマフラー着けてるんだ?」
と聞いた。すると少女は、
「あなたが私と同じ高校に行ったら、教えてあげる」
と言った。

少女は偏差値が高い学校に入り、少年も彼女に理由を聞くためだけに受験し、同じ高校に入った。同じクラスだった。
入学式の日、少年が少女に、
「お前、何でいつもマフラー着けてるんだよ?」
と聞いた。すると彼女は、
「あなたが私と同じ大学に行ったら、教えてあげる」
と言った。

2人は偏差値の高い同じ大学に入った。同じ学科だった。
いつしか2人は付き合い始めた。仲が良く、ほとんど公認のカップルだった。
「いい加減教えてくれよ。何でマフラー着てんだい」
ある日の帰り道、男は笑いながら言った。すると彼女は、
「もう、逃げられないのね」
と言った。そして、始めてマフラーに手を掛けた。

そこにはくびが

次に目覚めたとき、俺は病院のベッドで横になっていた。
彼女がマフラーを外して、そこから後の記憶が無い。
「よぉ。この色男が」
声のした方を向くと、寺生まれで霊感の強いT先輩が彼女と一緒に見舞いに来たところだった。
T先輩曰く、俺は転んで段差に頭をぶっつけたらしい。
一通り談笑を済ませると、T先輩は
「さて、それじゃあ邪魔者は帰るぜ。破っ破っ破」と笑いながら立ち去ろうとした。

「待って」
その背中に、彼女が言った。
「・・・ありがとう」
T先輩は、何も言わなかった。

二人きりになったので、俺はさっきから気になっていたことを聞いた。
「お前、マフラーはどうしたんだ?」
そう。病室に来た彼女は、マフラーを外していたのだ。
すると彼女は悪戯っぽそうな笑顔で、
「あなたが私と結婚してくれたら、教えてあげる」と言った。
寺生まれってスゴイ。大学3年の秋のことだった。




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