親戚?

もうずいぶんと昔。まだ小学生だったころ。
教室で昼休みの終わりを待っていたら、いつもは私に冷たい担任の先生が血相を変えてやってきた。
「○○くん、落ち着いて聞いてね。お母さんが仕事先で倒れたの。すぐ帰る用意をして職員室へ行きなさい」
驚いてランドセルに手当たり次第に物をつめて職員室に向かった。
校長先生がいた。
「お父さん、いまトイレに行かれているから、すぐに一緒に病院に行きなさい」
校長先生もおちつかない様子で、しきりに腕時計を見ていた。
「あの…先生…」
言わないといけない。
「うちにおとうさんはいないんですけど…」
母子家庭だった。

大騒ぎになった。

その時─
「よう、遅くなって悪かったな、固くてなかなか出なかったんだ(笑)」
空気を読まないセリフと同時に男が引き戸を開けて職員室に入ってきた。

「!あんた!あんた一体誰なんだ!!?どうも父親にしては若いと思ったんだ!」
興奮した校長が男にそう怒鳴りつけたが男は平然としていて動じる様子もない。
彼こそは、寺生まれで霊感の強いTさんだった。
「破ぁ、実は本当は俺はこの子の父親の霊の知り合…いや、お母さんの親戚です。
急いでたんで、父親を名乗った方が早いと思いましてねえ」
Tさんは呆気に取られている校長を尻目に、背の低い私の前にしゃがんでにっこり笑った。
「飲み明かして昼まで寝てたら、夢で君のお父さんの霊から頼まれてな。
妻が悪い霊の霊障で危ない、助けてくれってね。
お母さんの事は大丈夫、俺が何とかしてみせるよ。さ、行こうか」

寺生まれって凄い、私はTさんと手を繋いで下校しながら改めてそう思った。




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