稲川さんの怪談

この、お坊さんの妹さんって人もいろんな体験してるんですよね。

自分のそのお寺ってのは、かなり、こう木がいっぱいあって、夜は薄気味悪いくらいに鬱蒼としていて、外からの音も聞こえなくなっちゃうんですよ。
ところが、やっぱお寺のお嬢さんですから、色々と式典だ何だ祭事があったりすると、そう言う準備をしなきゃなんなくて、結構忙しいんだそうです。
で、遅くになっちゃって、自分の家に帰ろうと思って、道を歩いてきたんですよ。カッコカッコカッコ歩いてきた。
そん時に、お? なんかついてくるような気がしたってんですよ。ひたひたひたひた。
や、でも気にすることないと思って、またカッコカッコカッコ歩いてきた。確かにひたひたする。うっすらと声がするってんですよ。子供のような声が。
えぇー、子供の声がこんな時間にどうしてなんだろうな? ま、聞こえてもおかしい事はないけどなーって思って。
そうしたらこれが、赤んぼの笑うような泣くようなあの声があるじゃないですか、うゃやや、ややや。あの声だってんですよ。
やだ、これ。だって、家から聞こえてない。今自分が歩いてきたこの道の後ろから聞こえてくるってんですよ。それも自分が立ち止まったら、確実に近づいてくるって言うんですよ。
道ですよ? お寺さんの。
うゃやや、ややや、やややって。やだやだやだって、思ったら、うゃやや、ややや、やややって。
それで、後、たったったって歩いたんだけど動けない、なんか気持ち悪い。
うゃやや、ややや、やややって。
うそだー、どうしてこんな所にいるんだーと思ったら、うゃやや、ややや、やややって言うから、ひょいっと後向いたらばもごもごもごもご黒い物がだんだん自分に近づいてくるんです。
もごもごもごもごもごってだんだん近づいてくる。
何だー! と思った。
Tさんがはいはいしてたんだそうですよ。うゃやや、ややや、やや。赤んぼの泣き真似しながら自分の方に向かって。
あまりの事態に凍り付いて動けない、あーやだーこんな兄貴やだーと思ったら、自分の首のとこめがけて、ぴょーんと飛びついてきたそうです。
次の瞬間、彼女、Tさんの顔面にカウンターパンチ入れて、そのまま地面に叩きつけたって言ってました。

「稲川さん、いい歳してあんな悪ふざけができるアレって何なんでしょうね?」って、彼女、涙ぐんでましたよ。えぇ…




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